Weak Pawns


戦略の基本 のところで述べたように、弱いポーン ( Weak Pawns ) が弱点となりやすいです。まず、孤立ポーン、Backward ポーン ( バックワード、後方 )、ダブルポーン
3種類のポーンについて知りましょう。


孤立ポーン ( Isolated Pawn )


両隣のファイルにポーンがなく、ポーンで守ることができなくなったポーンを孤立ポーンと言います。上図の d4 ポーンが孤立ポーンです。

d4 ポーンはポーンで守ることができないためピースで守る必要があり、相手に狙われやすくなります。 d4 ポーンの守りにピースを縛りつけることになります。

上図のようにハーフオープンファイル上にある孤立ポーンはルークからの攻撃を受けやすいのでさらに弱くなります。しかし、孤立ポーンは短所ばかりではなく、重要なマスを支配していたり、スペースを得たりといった長所もあります

通常 孤立ポーンは相手に狙われやすくなるため、不要な孤立ポーンを作らないよう気をつけましょう


Backward ポーン


隣ファイルのポーンより後方にあり弱くなるポーン。上図で d4 ポーンが Backward ポーンです。 c3 にポーンがあり d4 ポーンを守っていればまだいいですが、Backward ポーンをポーンで守れなくなった場合は相手に狙われやすくなります。

孤立ポーンと同様にハーフオープンファイル上に Backward ポーンがあると、さらに弱くなります ( 上図で d8 にルークがあるときなど )。 Backward ポーンをピースでよく守っていて問題ない場合もありますが、ピースを守りに縛りつける可能性があります。

Backward ポーンの前のマス ( 上図 d5 のマス ) も弱いため、相手にそのマスを利用されやすいです。

ポーンが進むことで Backward ポーンができます。ポーンを進める時は Backward ポーンができることで不利を招かないか注意しましょう。 


ダブルポーン ( Doubled Pawns )


白 b2 と b3 ポーン、 f2 と f3 ポーン
黒 c6 と c7 ポーン、 g6 と g7 ポーン

1つのファイルに自分側のポーンが2つあるのがダブルポーンです。ダブルポーンがあることで、ポーンを進めづらくなったりパスポーンを作りづらくなったり弱いポーンができて相手に狙われやすくなったりします。また、キング周辺にダブルポーンがあれば
キングの安全性に問題が生じます

しかし何事にも例外ありで、ダブルポーンが重要なマスを支配していたり、ハーフオープンファイル や オープンファイルができてそれを活用できる、という場合もあります。




a サイドから見ていくと、a ファイルが ハーフオープンファイルになっているため、白はこのファイルを活用することが可能です ( 上図では黒が ...a6 とすれば特に問題ないですが )。

黒は a サイドに4つのポーンがありますが、ダブルポーン ( c6 と c7 ) があるため、c6 ポーンの代わりに d7 にポーンがある場合に比べ、パスポーンを作りづらいです。

h サイドの方では、f2 と f3 のダブルポーンだけでなく、f2、f3、h3 ポーンがいずれも孤立ポーンのため弱く、白キングは危険にさらされやすくなります。

一方、黒キングの前にもダブルポーンができてますが、白キング周辺のポーン形よりはまだましです。

ダブルポーンが不利となる場合は多いので、不要なダブルポーンができないよう注意しましょう


弱いポーンを作らない

5.b4?! の局面


J_Will vs. GM VovAn1991 0-1

白は Ba1 の利きを開くため b4 にポーンを進めましたが、a2 ポーンが Backward ポーンとなり、a2 ポーンをポーンで守れなくなりました。 a7 にポーンがあればまだいいですが、 a ファイルがハーフオープンファイルになっているため、5...Ra8 で弱い a2 ポーンを攻められます。

5.b3 ならば 5...Ra8 とされても 6.a4 とできます。

5.b4?! Ra8 に対し、6.a3 とすれば a3 ポーンを Qd3 で守ることもできますが、a3 ポーンは Backward ポーンとしての弱さが残るのと、クイーンをそのような守りに縛りつけるのは良くありません。上図局面では白のクイーンが早期に飛び出しているため、クイーンが狙われやすくなるのも悪いです。



7.g4? の局面 ( g3 → g4 )


DOSgamer vs. GM LuckyTiger 0-1

白が何の目的で 7.g4? としたか分かりませんが、7...hxg4 で h2 ポーンが孤立ポーンになり弱くなります、g3 ポーンが守っていた f4 ポーンへの守りも外れてます。
Bg3 で f4 と h2 ポーンを守れますが、ビショップを活用しづらくなります。白は自ら弱いポーンを作ったことになります。



7...hxg4 8.Rxg4 a5 9.a4

  
a5 → a4 を防ぎこの局面では悪くないようですが、Nb3 があるため a4 ポーンをポーンで守れません。



9...Qc8 10.0-0-0?


a4 ポーンは Nc3 に守られていて大丈夫と思ったのでしょう。10...Bxc3 11.dxc3 Nxa4 で白は a4 ポーンを失います。下図




白はポーン1つ少ない上に、 c2 - c3 のダブルポーン、Backward e2 ポーン、孤立 h2 ポーンがあり不利な状況です。

またここで気づいておきたいことに、ハーフオープンファイルが d と g ファイルにあることで、白のポーンは b2 - c2 - c3、 e2 - f4、 h2 の3つの部分に分かれてます。これらは Pawn Islands ( ポーンアイランズ、ポーンの島 ) と呼ばれ、Pawn Island の数が多いほどポーンが弱くなる傾向があります。  


弱いポーンを作らせる

7...Nc6?? ( Nd8 → Nc6 )  の局面


GM LuckyTiger vs. VladPal 1-0

b7 ポーンが Nc5 と Bh1 に攻撃されているため、Nc6 でブロックしました。黒は Qg7 と Bh1 のコンビで Qxb2# の狙いがあるので、白は気をつける必要があります。



8.Nxd6 cxd6 


黒は d6 と d7 のダブルポーンができました。キング周辺に弱いポーンができると
キングの安全性が弱まります。白は次に何を指すでしょうか?



9.Nxb7!


先を正確に読んでないと指させないサクリファイスですが、さすがグランドマスター
チャンスを見逃しません。



9...Kxb7 10.Qb5+


この局面から先を読むのは容易ではないですが、d6 と d7 のダブルポーンができたことで d7 ポーンを動かせず、黒はクイーンをすぐ防御に回せません。

10...Kc7 11.Ba5+
11...Kc8 12.Qa6+ Kb8 13.a4 Nxa5 14.Qxa5 d5 15.Ra3 d6 16.Rc3 Qb7 17.Rb3
11...Nxa5 12.Qxa5+ Kc8 13.Bxa8

10...Kc8 11.Bxc6 dxc6 12.Qxc6+ Kb8 13.Bb4 Rc8 14.Bxd6+ Rc7 15.a4 a5 16.Ra3 Raa7 17.Rb3+ Kc8 18.Bxc7 Qxc7 19.Qxe6+ Qd7 20.Qc4+ Rc7 21.Qa6+ Kd8 22.Rb8+ Rc8 23.Qxa5+ Ke7 24.Qb4+ Ke8

などで白優勢のようです。



10...g4 の局面


GM LuchyTiger vs. celeron 1-0
http://www.chess.com/echess/game?id=57799530

Bf3 は Good Bishop ですが Closed Position ( 閉じた局面 ) ではナイトの価値が高まるため、 11.Bxe4 でセンターで良い働きをしているナイトと交換します。



11.Bxe4 fxe4


f ファイルに黒のポーンがなくなったため、h3 とすれば黒に孤立ポーンを作らせるとともに h ファイルを開くことができます。

12.Bd2 Bf6 13.Bc1 Be7 14.h3 下図




このタイミングで白は 14.h3 として黒に孤立ポーンを作らせようとします。
黒は 14...gxh3 または 14...h5 15.hxg3 hxg3 のどちらでも孤立ポーンができます。

14...h5 15.hxg3 hxg3 16.Rh1 下図




黒は g4 に孤立ポーンができたため、1つの弱点ができました。この時点ではまだ互角ですが、相手に弱いポーンを作らせておけば、すぐそのポーンを攻められなくとも、後でそのポーンを攻められる可能性があります。黒は g4 ポーンを守る必要も出てきます。

この局面からどうしていくかは別問題ですが、相手に弱いポーンを作らせることを考えられるようになりましょう。

  

弱いポーンを攻める

26.Bxg2 の局面


tapirus vs. GM LuckyTiger 0-1

スペースでは白が勝ってますが Spike1.4 の分析を見ると互角のようです。
お互い h ファイルに孤立ポーンがあります。

ポーンが多く残っているエンドゲームでは弱いポーンを攻めるのにビショップよりナイトが優れている場合があります。状況によってはナイトを残すことを意識した方がいいでしょう

一方、ビショップはオープンな局面で有効なため、オープンな局面や、ポーンの数が少なく両サイドにポーンがある状況などではビショップを残した方がいいでしょう
いずれも状況次第です。



34.Nb3 の局面


先に進んだ局面です。局面はオープンな感じですが、白側のビショップは Bad Bishop で、白マスにあるポーンが Bh5 の可動性を妨げてます。また、Bh5 は黒マスにあるポーンを攻めることができません。 よって 34...Bxb3 で白のナイトを消して、黒のナイトとキングで白の弱いポーンを攻めるのがエンドゲーム ストラテジーになります。



34....Bxb3 35.axb3


黒は黒マスにポーンを置けば白のビショップにポーンを攻撃されることがありません。
一方、白は h3 の孤立ポーン、 e3 の Backward ポーン、 b2 と b3 のダブルポーン ( Backward ポーン でもある ) 、など弱いポーンがあるため、黒のナイトとキングにそれらのポーンを狙われやすくなります。

35...Kb6 36.Kc2 Kc5 37.Kc3 Nc6 下図






38.Be8 Nb4 39.Bf7 Na2+ 40.Kc2?


40.Kd3 の方がまだ良かったです。
40.Kc2 Kd4 41.Kd2 Nb4 42.Be6 Kxe4 43.Kc3 a5 45.Bd7 Kf3
下図で白 resign ( 投了 )





弱いポーンを解消する

孤立ポーン、Backward ポーン、ダブルポーン など弱いポーンが自分側にできた時
チャンスがあれば駒交換を利用して弱いポーンを解消することも考えましょう。

相手側に弱いポーンがある時、相手の弱いポーンを解消させてしまうような手を自ら
指してしまわぬよう気をつけましょう。エンドゲームに向けて相手に弱いポーンを残させるのも1つの戦略です。


参考例 23.c4 の局面


colinwh vs. NM Ty_Twadd 1-0

Spike1.4 の分析によると黒有利のようです。この局面で黒は 23...Nxf3? としました。


23...Nxf3? 24.gxf3


たぶん黒は、白をビショップペアでなくさせること、ナイトを交換すれば Bb2 に攻撃されていた Ne5 を守らなくて良くなるので 24...a4 と続けて白の連結ポーンを崩し、孤立ポーンにさせる狙いだったのでしょう。

しかし、センターの好位置にあったナイトを白の Bad Bishop と交換したこと、白のダブルポーンが解消され、e4 ポーンが f3 ポーンに守られていることは白に都合が良く、互角の局面になりました。Opposite Colored Bishops が残っているのでドローの可能性も高そうです。

黒は 23...a4 や 23...f6 とするのが良かったです。
相手の弱いポーンを解消させてしまうことに気をつけましょう。



12...Qxd6


hitsujyun vs. k1_the_king 1-0
http://www.chess.com/livechess/game?id=761188895

白 d4 ポーンはセンターの重要なマスを支配して、スペースを与えていますが、エンドゲームでは孤立ポーンが弱点となりやすいため、良いチャンスがあれば駒交換を利用して孤立ポーンを解消したいです。

黒キングがまだキャスリングしてない今がそのチャンスで、 13.d5 exd5 14.Re1+ 下図



黒はどうしたら良いでしょうか?
14...Nde5?? 15.Nxe5 Nxe5 16.f4 下図で黒はナイトを失うことになります。



16...Qb6+ を防ぐ 16.Qd4 がより良いです。
1つ前の図では 14...Kf8 とするのが最善のようです。



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