パスポーン



相手ポーンに前進を妨げられなくなったポーンを、パスポーン ( passed pawn ) と言います。上図で b5 と h5 がパスポーンです。さらに b5 ポーンは a4 ポーンに守られているため、このようなパスポーンを protected passed pawn ( 守られたパスポーン ) と言います。 ちなみにもし 黒 a5 ポーンがなければ a4 ポーンもパスポーンとなるため、その場合 a4 と b5 ポーンは connected passed pawn ( 連結パスポーン ) と言うようになります。

ポーンを進めて昇格させるにはパスポーンを作る必要があるため、パスポーンができれば1つの利点となります。特にエンドゲームではパスポーンの価値は高まります。

ミドルゲームにおいてもパスポーンがあれば、相手はパスポーンの前進をピースで止める必要があるため、相手ピースの活動性を妨げることができます。

戦略としては
パスポーンを作ること
パスポーンを活用すること
パスポーンを昇格させること
相手にパスポーンを作らせないこと
相手パスポーンの前進を防ぐこと ( Blockade、ブラケイド )

などです。



参考例 50...Kxc5 の局面


51.g4 から h サイドでパスポーンを作れる白が勝てる状況ですが・・・



51.f5??


タイムプレッシャーから白はミス、51...exf5 52.Kxf5 となると思っったのでしょう。

51...e5 でドローになる局面になります 下図




白はまだ g3 → g4 → g5 として ...fxg5 となった後 f ポーンがパスポーンになるため、黒は油断できません。
52.Kd3 Kd5 53.Ke3?? 
( 53.g4 ならドローにできる 53...e4+ 54.Ke2! Ke5 55.Ke3 など、54...Kd4?? は 55.g5 で白勝ちになる )

53.Ke3?? e4 54.g4 Ke5 下図




ツークツヴァンク ( 白はどんな手を指しても不利となる )。 50...Kxc5 の局面では白が勝てる局面でしたが、ドローになる局面になり、53.Ke3?? により黒が勝てる状況になってしまいました。

55.g5 fxg5 56.f6 Kxf6 57.Kxe4 下図




g5 ポーンのようなポーンを outside passed pawn ( 外側にあるパスポーン ) と言います。黒は g5 ポーンをおとりにして a サイドのポーンを取りにいけるため、黒が勝てます。



参考例2 33.Kd3 の局面


ポーン1つ多く、d4 がパスポーンの黒が有利です。しかし、d4 ポーンをキングとビショップで守ってないと黒は d4 ポーンを失います。白は d4 ポーンを取ることと、できれば白マスにポーンをおいた方が黒側のビショップにポーンを取られずに済みそうです。

黒は d4 ポーンを守ること。そしてお互いポーンをどう進めるか、ポーンを動かせなくなればツークツヴァンクになる可能性を意識すべきでしょう。

33...Bc5 34.Bf2 b5 35.b3 a5 36.Be1 a4 37.bxa4 bxa4 38.h4 h5 39.g4 下図




この局面では黒優勢ですが、黒の次手が悪かったです。



39...hxg5? 40.fxg4


まだ黒が少し良いようですが、白は h ファイルにパスポーンを作れる可能性が出てきました。黒は 39...g6 としていれば優勢を保てました。



40...g6?


41.h5 で白は h ファイルにパスポーンを作れます。黒は白にパスポーンを作らせないように注意すべきでした。黒としては 40...f5 41.gxf5 Ke5 とするのが良かったです。

41.h5 gxh5 42.gxh5 下図




この局面ではまだドローになる局面ですが、時間切れで黒が負けました。
下図が最終局面 42...Bf8 43.Bf2 a3? 44.Bxd4 Bh6 45.Bxf6




容易ではなさそうですが Spike1.4 の分析を見ると白が勝てる局面のようです。

パスポーンができる状況は様々なケースがありますので、各局面において判断が必要ですが、自分がパスポーンを作ることを考えるだけでなく、相手にパスポーンを作られないよう気をつけましょう。よく考えて対処すれば相手にパスポーンを作られることを防げる場合も多いです。


続いて、Pawn Majority ( マジョリティ、数的優勢 ) について見ていきましょう。


白は a サイド ( a ~ d )、 黒は h サイド ( e ~ h ) で Pawn Majority があります。
a サイド 白ポーン3 vs. 黒ポーン2
h サイド 白ポーン3 vs. 黒ポーン4

白は a サイド、黒は h サイド、でパスポーンを作れる可能性があります。
まずは、 a サイド、h サイド、で Pawn Majority を意識できるようになりましょう。
Pawn Majority があるとパスポーンを作れる可能性があるため、Pawn Majority があれば1つの利点となります。




Spike1.4 の分析を見ると白が若干いいようですが、ほぼ互角の局面です。このような局面から勝つのは難しく、ミスして負けるのは容易です。相手が強いコンピューターや自分より強いプレイヤーであればドローにするのも難しいです。

しかし、今ここで重要なのは、a サイド、h サイドの Pawn Majority が1つの利点になることを知ることと、Pawn Majority からパスポーンを作ること ( エンドゲームで利点となる )
可能なら相手が Pawn Majority を得るのを防ぐこと 、です。





白がパスポーンを作るには、b2 ポーンを先に進める必要があります ( 黒ポーンがないファイルの白ポーンを先に進める )。 1.a4? とすると 1...a5 とされて b2 ポーンを進められません。

1.b4 a6 2.a4 で白はパスポーンを作れます。

しかし、実際には両キングの位置も関係してくるため、1.a4 として問題ない場合もあります。




上図では 1.a4 a5 となっても、白は 黒 a5 ポーンを取れるので問題ありません。




上図はお互いにミスをしやすく難しい局面です。このような局面ではよく先を読んで
ポーンを動かすことに慎重にならねばなりません。多くの変化があるため、ここには記載しませんがチェスソフトや Endgame Database ( Shredder's website )  などでご確認
ください、勉強になります。




ポーンが 3 対 2 になっても白がパスポーンを作るには c2 ポーンを先に進めるのが
基本です。別サイトですが下記リンク先のページをご覧ください。
3P vs 2P ( CHESS 記 )


Breakthrough ( 突破、ブレイクスルー )


エンドゲームで非常に気をつけなければならないことに、Breakthrough があります。
Breakthrough は主にサクリファイスを使って相手の防御を崩し有利を得ることです。

上図 3 対 3 のポーンからパスポーンを作る方法は

1.b5 axb5 2.c5! bxc5 3.a5 または 2...bxa4 3.cxb6
1.b5 cxb5 2.a5! bxa5 3.c5 または 2...bxc4 3.axb6
で白の方が早く昇格できます。

エンドゲームの本では 3つの黒ポーンが 7th ランクにあり、3つの白ポーンが 5th ランクにある局面で説明していますが、3つの白ポーンが 5th ランクに達するまで、3つの黒ポーンが1つも動いてないのは滅多にないので、上局面で説明しました。




黒先手ならば 1...b5 とすることが防御手段となるため一緒に覚えておきましょう。

1...b5
2.axb5 axb5 3.cxb5 または 3.c5
2.axb5 cxb5? 3.c5
2.cxb5 cxb5 3.axb5 または 3.a5

1...a5? とすると 2.c5! bxc5 3.bxa5 または 2...axb4 3.cxb6 で白の方が早く昇格しますので要注意です。
同じく、1...c5? 2.a5! bxa5 3.bxc5 または 2...cxb4 3.axb6

実際のゲームでは両キングの位置が関係してくるため、3 対 3 のポーンで自動的に
真ん中のポーンを突くことは避けましょう。





白優勢の局面ですが 3 対 2 のポーンでも油断してはいけません。
1.g3?? g4! 2.hxg4 h3 または 2.gxh4 gxh3 で黒の勝ちになってしまいます。




この局面であれば 1.g3 が最善手になります。
1.g3
1...g4 2.hxg4 h3 3.f3+ Ke5 4.Kf2
1...g4 2.hxg4 hxg3 3.fxg3
1...hxg3 2.fxg3 Ke5 3.Ke3 Kf5 4.Kd4! Kf6 5.g4 Ke6 6.Ke4 Kf6 7.Kd5
1...Ke5 2.gxh4 gxh4 3.Ke3 Kf5 4.Kf3 Kg5 5.Ke4

などで白が勝てます。1つ前の局面とポーンの配置は同じでも両キングの位置によって状況が変わってます。




1.Kf3 や 1.a3 などから白は勝てるのですが
1.a4?? とすると 1...c4! とされ、黒がドローにできます。

1.a4?? c4!
2.a5 と 2.b4 ならドローにできますが、2.axb5?? cxb3 と 2.bxc4?? bxa4 では黒が勝てるようになるため要注意です。実際に駒を動かしたり、チェスソフトでご確認ください。

Breakthrough は様々なケースがあります。うっかりしやすいため、エンドゲームでは Breakthrough の可能性に十分気をつけましょう。


相手パスポーンの前進を防ぐ Blockade については次の記事で扱います。


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