タイムマネジメント

※ 自分なりに考えた内容ですので参考程度にご覧ください。


この記事で述べる タイムマネジメント ( 時間管理 ) は、ゲーム中の時間の使い方に
関することです。残り時間が少なくなり、タイムプレッシャーからミスすることをできれば
避けたいため、ゲーム全体の時間配分、局面の状況 や 持ち時間の長さにより、その手にどれぐらい時間をかけたら良いか、目安をつけておきましょう。

ちなみにチェスでタイムコントロールは、" 時間制限、持ち時間の規定。また、規定の
手数を指し終え、持時間が増えること " ( チェス用語小辞典 (英和) より ) を意味します。

タイムマネジメントを考える前にまず、自分にとってゆとりある持ち時間のゲームを行った方が良いでしょう。3分 や 5分の短時間ゲームはスピード感があって面白いですが、1手ごとよく考える時間がなく、タイムプレッシャーにおちいったり、時間切れとなることが多いです。

OTB をされる方ならば、公式戦の持ち時間でタイムマネジメントを考えれば良いでしょうし、私のようにネットでしかゲームをしない場合は、自分がよく行なう持ち時間のゲームでタイムマネジメントを考えれば良いでしょう。

この記事では
持ち時間15分 1手ごと10秒加算
持ち時間 5分 1手ごと 2秒加算

2つのケースでタイムマネジメントを考えていきます。この記事を参考にタイムマネジメントをされる場合は、それらを参考にしてアレンジしてみてください。

タイムマネジメントに関わる下記 4つについて考えていきます。

1. 一般的なペース配分を知っておく
2. 1手にかける時間
3. 相手番の活用
4. 相手の残り時間

一般的なペース配分を知っておく

オープニング、ミドルゲーム、エンドゲーム、それぞれの段階にどれぐらいの割合で時間をかけるか? ということが考えられますが、どこからミドルゲームかなどはゲームにより異なるため、とりあえず、10手目、20手目、30手目、の3つで目安となる残り時間を
知っていれば良いのでは、と思いました。

まず、持ち時間15分 1手ごと10秒加算のゲームで、20手以上かかった自分の
ゲームデータを見ると ( ゲーム数100 ) 

かかった手数
20 ~ 30手  28 ( ゲーム数 )
31 ~ 40手  22
41 ~ 50手  24
51 ~ 60手  16
61手以上  10

平均手数を計算してみると、約 42手 でした。

かかった手数が少ない場合は、タイムマネジメントが悪かったというよりも、駒損などで
リザインしたことが多いと思いますので、40手、50手、60手 の3つで、1手あたりどれぐらいの時間をかけられるか計算してみると。

900秒 ( 15分 ) + 400秒 = 1300秒 ÷ 40手 → 32.5秒
900秒 + 500秒 = 1400秒 ÷ 50手 → 28秒
900秒 + 600秒 = 1500秒 ÷ 60手 → 25秒

と出ました。

1手あたり 32.5秒を長いと思うか、短いと思うかは人それぞれだと思いますが、実際に時計の秒針で 32.5秒を見てみると、ある程度の長さを感じますが、それがゲーム中で指し手を考えている状況となると、あっという間に過ぎてしまう時間ではないでしょうか?

1手あたりかけられる時間がどれぐらいなのか、感覚をつかんでおいた方が良いかも知れません。


40手のゲームの場合
10手目  32.5 × 10 = 325秒
900 + 100 - 325 = 675 → 残り時間 11分 5秒 ( 約11分 )

20手目  32.5 × 20 = 650秒
900 + 200 - 650 = 450 → 残り時間 7分 30秒

30手目 32.5 × 30 = 975秒
900 + 300 - 975 = 225 → 残り時間 3分 45秒 ( 約 4分とする )

このように 10手目、20手目、30手目 でどれぐらい残り時間があれば良いか分かりますので、これを一般的なペース配分の目安 とすると良いでしょう。ペース配分の基準となる手数を、40手にしたら良いか、50手にしたら良いかは、持ち時間の長さに合わせて、いろいろお試しください。


今度は、持ち時間5分 1手ごと2秒加算のゲームの場合、同じく 20手以上の自分のゲームデータによると ( ゲーム数100 )

かかった手数
20 ~ 30手  41 ( ゲーム数 )
31 ~ 40手  25
41 ~ 50手  22
51 ~ 60手  5
61手以上  7

平均手数を計算してみると、約 37手 でした。

300秒 ( 5分 ) + 80秒 = 380秒 ÷ 40手 → 9.5秒

1手あたり 9.5秒 と出ました。

40手のゲームの場合
10手目 300 + 20 - 95 = 225秒 → 残り時間 3分45秒
20手目 300 + 40 - 190 = 150秒 → 残り時間 2分30秒
30手目 300 + 60 - 285 = 75秒 → 残り時間 1分15秒

が目安の時間となります。10手目で残り時間 4分ならまずまずと覚えておけば良い
でしょう。


1手ごとの消費時間が分かるサイトは、lichess が無料なのでオススメです。下図のように1手ごと、自分と相手の消費時間が分かります。ただし、1手最大60秒までと、10秒以上は、15秒、20秒、30秒、40秒 のおおよその時間であること、1手1秒単位、で
表示されるため、正確な消費時間が知りたい場合は、有料ですが ICC が良いです。


また、lichess は今のところ、ゲーム中、今 何手目なのか表示されないため、ゲーム後にタイムマネジメントを見直すのには適してますが、ゲーム中にタイムマネジメントを考えるには chess.com の方が適してます。


実際に自分のゲームと時間を比較してみます。
http://ja.lichess.org/QbVZXWGL のゲーム ( 28手終了 ) で消費時間を計算すると

10手目 残り時間 4分53秒 ( 目安は 4分 )
20手目 残り時間 3分 1秒 ( 目安は 2分30秒 )

消費時間のペースは悪くありませんでした。実際には、タイムプレッシャーにおちいったゲームで、残り時間を比較した方が改善につながります。


自分にとってゆとりある持ち時間のゲームをするのが良いですが、それでもタイムプレッシャーがかかる場合もあります。タイムプレッシャーを感じても、できるだけ良い手を指せるよう、日頃から 5分や 3分などの短時間ゲームを行い、残り時間が少ない状況に慣れておきましょう。

ただし、チェスを始めてしばらくは 5分や 3分の持ち時間ばかりしていると、よく考えずに指してしまう癖がつきますので、5分や 3分の短時間ゲームをやるのは R1500 以上になってからの方がいいでしょう。

始め 5分の持ち時間は短く感じると思いますが、3分や 1分のゲームをやると、5分は長く感じるようになります。


1手にかける時間

前述の内容から、目安となる1手あたりの平均時間と、10手目、20手目 など、一般的なペース配分が分かりましたが、ゲームでは時間をかけずに指せる手もあれば、時間がかかる手もあります。局面の状況により、どれぐらい時間をかければいいか? 
という疑問がわいてきます。そこで下記 2つについて考えていきます。

1. 1手にかけられる最大時間は?
2. 時間のかかる局面


1手にかけられる最大時間は?

数学を得意とされる方ならば、計算式を使って導きだせそうですが、私なりに思いついた方法でご説明します。

まず前述のように一般的なペース配分の時間を求めておきましょう。例として、持ち時間15分 1手ごと10秒加算のゲーム、40手を想定します。

1手あたりの平均時間は 32.5秒

10手目 残り時間目安 11分
20手目 残り時間目安 7分 30秒
30手目 残り時間目安 4分

とします。

次に指す手が10手目で、その時の残り時間が13分だったとすると
13 - 11 = 2分

10手目に 2分はかけて問題ないでしょう。

10手目に 3分かけた場合は、その後 どこかで時間が調整されないと、タイムプレッシャーにつながる可能性があります。

基本的にこのような考え方です。10手目、20手目 の残り時間目安から、今この手に
どれぐらい時間をかけていいか見当をつければ良いでしょう。 

もう1つの方法としては、タイムプレッシャーがかからなかったゲームと、タイムプレッシャーがかかったゲームを比較して、1手あたりの平均時間を超えた手がいくつあったか? 平均時間の何倍までは問題なさそうか? を探れば、1手にかけられる最大時間の
目安が分かりそうです。

下記は少ないゲーム数のデータですが

タイムプレッシャーがかからなかったゲーム
( 持ち時間5分 1手ごと2秒加算のゲーム )

A  1手あたりの平均時間を超えた手の回数
B  A の手が平均時間の何倍か、その回数 ( 2倍未満の回数は除く )

1. A  9回  B 2倍2回  3倍2回
2. A  9回  B 3倍1回
3. A 10回  B 2倍4回  6倍1回  


タイムプレッシャーがかかったゲーム

4. A 12回  B 2倍3回  3倍3回  6倍1回
5. A 14回  B 2倍3回  3倍2回  4倍2回
6. A 15回  B 2倍4回  3倍3回
7. A 12回  B 2倍2回  3倍3回  6倍1回
8. A 17回  B 2倍5回  3倍1回

もっとゲーム数が多ければ目安をつけやすいですが、それでもある程度の傾向が分かります。タイムプレッシャーがかかったゲームは明らかに、1手あたりの平均時間を超えた手の回数が多いです。また、平均時間の2倍、3倍、それ以上の回数が多くなってます。

それらのことからタイムプレッシャーがかからないようにするためには

1手あたりの平均時間を超える手の回数を減らす
平均時間の2倍、3倍、それ以上となる手の回数を減らす

ということが分かります。あたりまえのことを言っているようですが、それを認識しておくことは大事だと思います。

少ないゲーム数のデータなので信頼性は低いですが
1手あたりの平均時間の 2倍2回 3倍2回 ぐらいまでは大丈夫そうな感じです。
平均時間の4倍以上となる手は、できる限り指さないようにした方が良さそうです。

また、1つの傾向として、自分にタイムプレッシャーがかからなかったゲームでは、相手がタイムプレッシャーにかかっているか、ミスしてどちらかが負けてます。

" 将棋は、悪い手を指した数で勝負が決まるのではなく、最後に悪い手を指した方が負けるゲームである。 " ( 集中力  谷川 浩司 著  より引用 ) 


時間のかかる局面

局面の状況により、時間がかかる局面もあれば、かからない局面もあります。タイムプレッシャーにつながるので、時間のかかる局面でどのようにするかが大事になってきます。

時間がかかる局面は

定跡を知らない
候補手がいくつかあり迷う
相手の応手が多い
正確な読みが必要
良い手が分からない

など

プレイヤーの実力により、消費時間の長さが変わってくると思いますが、ゲーム後の
見直しで、時間がかかった局面で どのように考えたら短時間で指せたか? 
を考えたり、どのような手を指せば良かったかを考え、チェスソフトの分析も参考にすれば改善につながるでしょう。


参考例  6.Bd3 の局面


hitsujyun vs. fromm66 0-1

持ち時間5分 1手ごと2秒加算のゲームです。40手を想定すると、1手あたりの平均時間は 9.5秒。この局面で30秒かかり 6...cxd4 としました。

まだ6手目ですが、定跡を覚えてなかったため、定跡を確認して覚えておくのが1つ。
定跡を覚えてなくてもこの局面で、どう考えれば短時間で指せるか? を考えました。

まず、この局面は時間がかかるな、と思ったら、可能性のある候補手を出してみます。
無難なのは 6...Be7
あり得そうなのは 6...dxc4 と 6...cxd4
6...Bd6 は 7.Nb5 とされるかもしれないからやめておこう

など。
まずここまでを 1手あたりの平均時間以内に行いたいです。 6...Be7 ならすぐ指せますが、6...dxc4 と 6...cxd4 とするとどうなるか? もっと持ち時間の長いゲームだったらよく考えたいですが、今回は短時間ゲームのため時間的ゆとりがありません。

6...dxc4 または 6...cxd4 として問題なさそうですが、ハッキリとは分からないため、6...Be7 とするのがやはり無難ですが、6...dxc4 または 6...cxd4 としてもいい、という結論になりました。ここまでを1手あたりの平均時間の2倍、約20秒以内に済ませれば良いと思いました。3倍かかった局面を2倍にできそうです。

実際、定跡を確認してみると
6...dxc4 ( 最も人気がある )
6...Bd6
6...Be7
6...a6
6...cxd4

でした。

タイムマネジメントを改善させるには、どのように考えるかが大事なので、自分でその局面を考えてから、定跡を確認した方がいいでしょう。


14.Bxd5


この局面も 30秒かかりました。ゲーム中もそうでしたが、b7 ポーンが Bd5 に攻撃されているため、Bc8 を展開できませんし、14...Rb8 とすれば 15.Bf4 とされ手損となります。結局 6...Bd6 としたのですが、どうしたら短時間で指せたでしょうか?

14...Rb8 とはできない、と考えるまでを 1手あたりの平均時間内で、できれば早く行いたいです。

可能性のある手は
14...Rd8 → f7 ポーンがピンされるので避けたいと思いました
14...Be6 → 15.Bxe6 で孤立ポーンができる、15.Bxb7 とされる
14...Bf6 → ゲーム中はこの手の良さに気づきませんでした
14...Bd6 → 悪くなさそうと思いました

短時間では良い判断ができそうもないため、黒14手目は私の場合、30秒ぐらいかかっても仕方なさそうです。

時間をかけて考えれば
14...Bf6 とするのは悪くなさそうですし
14...Rd8 も悪くなさそうです
14...a5 から ...Ra6 などの手も考えられます

チェスソフトの分析を見ると
14...Rd8
14...Bf6

が良いみたいです。


18.Rad1


ここでまた30秒かかりました。 18...Bxd5 とすることはすぐ考えましたが、19.Rxd5 で Bd6 が攻撃されると困ると思ったのと、 d7 にルークが進入してきそうだ、とも思いました。

時間をかけて考えれば良い手が浮かびそうですが、この局面で時間をかけずに指すにはどうしたら良いでしょうか? 短時間で指すとしたら、とりあえず 18...Bxd5 としてみるか、18...Bb4 です。 

18...Bc5 19.Bxc5 で孤立ポーンができるのは嫌な感じです

時間をかけて考えてみると
18...Rd8 が良さそうに思います

チェスソフトの分析を見てみると、18...Bb4 と 18...Bxd5 が良いようです。

18...Rd8 は良くないようで
19.Bxb7 Rxb7 20.Bf4 Rd7?? 21.Rxd6 で白優勢 ( 20...Re7! ならほぼ互角 )

自分が迷う局面で、短時間の判断で指すのは難しいですね。とりあえず思いついた手でいいのでしょうか?
短時間で考えると勘違いや、読みが不正確になりやすいです。

例えば
18...Bb4 は問題ないのに、他の手を考えている内に 19.a3 でダメだと勘違いしたり。


18...Bxd5 19.Rxd5


ここでは20秒かかりました。 Bd6 をどうするか? 18...Bb4 としましたが、18...Rfd8 や 18...Rbd8 なども大丈夫そうです、しかしゲーム中は 19.Rfd8 Rd1 とされてダメだと思いました ( 19...Bc7 で問題ない )。

短時間で読みを正確に行えないのはそれが実力ということですが、今回 18...Rfd8 や 18...Rbd8 を指せなかったとしても、このように時間のかかった局面を見直しておけば、次回 同じような局面になった時、前回より短い時間で対応できる可能性はあるでしょう。

1つ気づいておきたいことに、白は次に何を指せば良いか分かりやすいのに比べ、黒は次に何を指したら良いか分かりづらく、時間がかかります。白が主導権を取っていると
言えますが、黒が時間をかけて考えているため、その間 白も考えることができ、白は
時間をかけずに次の手を指せます。


18...Bb4 19.Red1


ここは 60秒以上かかり、このゲームで最も多く時間を消費しました。 白に Rd7 とされた時、a7 ポーンが攻撃されるのを気にしてしまいましたが、 a3 で Bb4 を攻撃された時、どうすべきかの方が優先事項です。

19...a6 としましたが、今あらためて考えると、19...Rc1 かな、と思ったのと、19...Bc5 20.Bxc5 bxc5 21.Rxc5 Rxb2 で 19...Bc5 が良さそうと思いましたが、チェスソフトの
分析を見ると 21.b3 とされると、孤立ポーンが残り、バックランクメイトの可能性もある黒が不利です。

チェスソフトの分析を見ると、19...Be7 20.Rd7 Rfd8 とするのが良いようです。


25.Rd7


ここで20秒かかりました。次に 白 Ra7 とされると a6 ポーンを失うため、25...Ra8 としました。25...Ra8 とするのはすぐ気づきますが、a6 ポーンがピンされているので大丈夫かと思ったり、他に良い手はないかと考えて時間がかかりました。

チェスソフトの分析では 25...g6 26.Ra7 Rb1+ 27.Kh2 Rb2 28.R5xa6 Kg7 とするのが良いようです。

この後 タイムプレッシャーがかかり、最後は時間切れで負けましたが、時間があっても負けていた可能性が高いです。


この記事を書くまでは、どのように考えれば短時間で指せたか? ということを考えた
ことはありませんでしたが、これからは、時間が長くかかった局面について、そのことを考えていくようにしたいです。

記事が長くなりましたので、次の記事 ( リンク ) に続きます。


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